地元重視 再建へ光 スペースワールド 加森観光傘下5年目へ 入場者11年ぶり増、黒字も確保
2009年06月30日 00:22
| カテゴリー:九州経済ニュース

北九州市のテーマパーク、スペースワールドが、加森観光(札幌市)傘下で経営再建に乗り出して7月から5年目に入る。2008年度の入場者数は11年ぶりに増加に転じた。経費削減による経営立て直しを進める一方で、地元客を重視した戦略が奏功した。九州の巨大テーマパークは長年、域外から集客する観光の目玉だったが、大半が厳しい経営に直面。施設を更新する投資もままならない。身の丈経営で地元を重視するスペースワールドの経営は、「転機」を迎えた九州のテーマパークを象徴している。 (北九州西支局・百合直巳、北九州支社・根井輝雄)
「やっと念願の態勢に近づいた」。丸4年間、スペースワールドの運営トップを務める戸田義和・総支配人は強調する。
08年度の入場者数は154万人。前年度比4.8%増えた。それまで大人で1万4700円だった年間フリーパスを昨年3月から、8400円に大幅値下げした。2回分の入場料金(1回大人4200円)で何度も入場でき、地元のリピーターが急増した。昨年夏には流れるプールを導入。奇抜な施設ではなかったが、周辺の娯楽施設にはプールがなかったため、地元客の集客につながったという。
09年度に入っても、入場客は前年から横ばいで推移している。
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スペースワールドは1990年、新日本製鉄八幡製鉄所の跡地に開業した。もとは、新日鉄が運営していたが、入場者は97年度の216万人をピークに年々減少。経営難のため、2005年5月に民事再生法を申請して負債を整理した上で、同7月に加森観光が引き継いだ。
加森観光は「入場者140万人でも利益が出る態勢に」(加森公人・加森観光社長)として、リストラも徹底する方針を打ち出した。08年度には、正社員110人を希望退職や出向などで60人削減し、50人体制とする方針を決定。景気悪化で出向受け入れが進まず、正社員は現在、約60人。残る10人の削減は「退職者の不補充で対応する」(戸田総支配人)としている。
また、梅雨時期で入場者が少ない今月29日から7月10日までの平日は休園にし「経費を最小限に抑える」徹底ぶり。
リストラの徹底と、入場者の回復により、08年度の決算は「わずかながら最終黒字になった」(戸田総支配人)という。
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九州テーマパーク等振興協議会がまとめた08年度の会員企業の入場者数は前年度比3.8%減。ハーモニーランド(大分県日出町)の運営会社が清算されて新会社に統合されるなど各地で経営再建の動きが進む。
スペースワールドでは、30億円の巨費を投じて導入したジェットコースター、タイタンVは07年末に事故を起こして以来、1年半運休したまま。宇宙をテーマにした絶叫マシーンに頼れないため、地道に地元客に受け入れられる施設をてこ入れしたことが効果的だった。
7月18日から「トパスのおさかな研究所」と銘打ち、屋外でカブトガニに触れるプールや、サメ・エイの水槽、熱帯魚のドーム型水槽を新設する。投資額は、7000万円という。
■姫路の施設と共通年間パス 高速1000円効果期待
スペースワールド(北九州市)は、加森観光グループのレジャー施設、姫路セントラルパーク(兵庫県姫路市)との共通年間フリーパスを発売する。コンビニでの前売りは7月1日から、両施設での販売は同18日から。
「高速道路千円」の効果で遠方からの入場者が増えているため、広島県や岡山県からの来客増を図る狙い。価格は大人1万2600円で、スペースワールドの入場料金の3回分、姫路セントラルパークの2回分という。
スペースワールドは「グループの力を生かし、両施設の入場者を増やしたい」としている。
=2009/06/30付 西日本新聞朝刊=