不況…担い手確保余裕なく 窯元の採用内定半減 有田窯業大学校 進路未定3割
2009年03月30日 05:19
| カテゴリー:九州経済ニュース
窯業後継者の育成拠点、佐賀県立有田窯業大学校(佐賀県有田町)の2008年度の卒業・修了生46人のうち、地元の窯元などへの就職内定者は15人にとどまり、前年度の30人から半減した。焼き物職人や作家としての出発点にすら立てない「卵たち」。景気悪化で焼き物の売り上げが急減、窯元の採用意欲が冷え込んでいるためだ。「焼き物不況」が厳しさを増す中、伝統産業の将来を担う若手職人の受け皿をどう確保するか。産地は難題に直面している。
「焼き物作りの仕事には、もう就けないかもしれない」。同校の専門課程(2年制)を今月で卒業した熊本県出身の女性(25)は、将来への不安をあらわにした。
焼き物職人を目指し、就職活動で有田町や長崎県波佐見町の窯元を10軒近く回ったが、採用してくれる窯元はなかった。女性は「就職が決まらなければ、趣味で続けるしかない」と弱音を漏らす。
同校は2年制課程を終えると卒業、1年制短期研修を終えると修了となるシステム。卒業・修了生は、ろくろや絵付けの技能を学んだ職人や作家の卵。卒業・修了後に別の課程に入り直す学生も少なくないが、08年度は卒業・修了後の進路が未定の学生は14人(30%)に上り、前年の8人(16%)を大幅に上回った。
売り上げがピーク時の3分の1以下に落ち込む有田焼業界。窯元への就職難の傾向は数年前から強まっているが、「景気悪化の影響でさらに『狭き門』になってしまった」と同校の縣良夫教務部長も戸惑いを隠せない。
佐賀県陶磁器工業協同組合(有田町)によると、加盟する県内の窯元125社の陶磁器商社への販売高は昨年10月以降、前年比で2‐3割減。窯元からは「腕のある職人も解雇される時代。新人を雇う余裕などない」との声も上がる。
しかし、従事者人口の減少や職人の高齢化が指摘される業界では、「産地の10年、20年先を担う若手人材の確保は大きな課題」(同組合)。
同校では、新年度から4年制課程を新設し、より高い技術や企画力を持つ人材を育成する計画。初村健二副校長は「厳しい時代だけに、業界全体で若い人材を育てることが必要」と指摘している。
=2009/03/30付 西日本新聞朝刊=